俳優、歌手、タレント、舞踊家とマルチに活躍した朝丘雪路(あさおか・ゆきじ)さん(本名・加藤雪江=かとう・ゆきえ)が先月27日にアルツハイマー型認知症で、都内の自宅で死去していたことが、20日までに分かった。82歳。14年に芸能活動を休業し、療養を続けていた。この日、都内で夫の俳優津川雅彦(78)が会見を行い、一瞬涙をにじませながらも、愛妻との思い出や感謝を気丈に語った。後日、お別れの会を行う。

 昨秋に肺炎を患って以来、肺を痛めている津川は、鼻に酸素吸入用チューブをつけ、会見場に姿を見せた。足もとはおぼつかなく、座ったままで、報道陣の質問に淡々と答え続けた。

 関係者によると、朝丘さんは亡くなる2日前まで3食きちんと食べるなど、介護を受けながらも、自宅で日常生活を続けていたという。先月27日に容体が急変。仕事先から自宅に急行した津川は、長女の女優真由子(44)とみとったという。「安らかでした。でも、声を掛けられる状態じゃなかった。娘は『ママ』って呼んでいた。返事はしないですけどね」と、肩を落とした。

 朝丘さんは4~5年前からアルツハイマー型認知症を発症。それまで別居していたが「両方にとってもその方がいいから」と、3、4年前から再び同居を始めた。最後に言葉を交わしたのは数カ月前。「『あら?』って。僕を見てね。でも、オレと分かってしゃべっていたのかな」。津川のことも徐々に認識できなくなっていったという。朝丘さんの闘病については「病気の深い話は勘弁してください」と口を閉ざした。

 45年の結婚生活については「悔いは思い出せないくらいいっぱいある」と語気を強めた。津川の不倫が報じられた時に「もっと遊んでくれればいい」と浮気容認発言をした朝丘さんだが、やきもちを焼くこともなかったという。思い出を聞かれると、内助の功を挙げた。「(津川の借金の)担保で自宅を売らなきゃならなくなったこと。お金にきれいな人でした。これが一番残念な思い出ですが、うれしかった。感謝です」。

 一番好きな朝丘さんは「女優でしょうね」と断言した。最後に思いをとうとうと語った。「全てに感謝です。娘を産んだことも含めて。家を売ってくれたこと。僕よりも先に死んでくれたことも含めて」。10分間の会見で、何度も愛妻への感謝を口にした。

 関係者によると、朝丘さんの葬儀・告別式は近親者で営まれ、すでに京都市内で納骨も行われたという。