漫画や書籍を無断コピーしたインターネット上の海賊版サイトのURLをリンク先としてまとめ、利用者を誘導する「リーチサイト」を巡り、大阪、福岡など9府県警の合同捜査本部は31日、著作権法違反の疑いでサイトを運営・管理していた元大学院生和宇慶真容疑者(22)=堺市堺区=や、会社員成合太彰容疑者(23)=大阪府豊中市=ら計9人を逮捕した。

 リーチサイトは海賊版を直接掲載していないが、無料閲覧を利用者に促し、著作者が本の販売を通じて得る利益を実質的に侵害しているとして問題視されていた。

 捜査本部によると、和宇慶容疑者らが運営していたリーチサイトは国内最大規模の「はるか夢の址(あと)」(閉鎖)。人気漫画「ドラゴンボール」「NARUTO(ナルト)」「ONE PIECE(ワンピース)」などの海賊版サイトへのリンクを掲載し、月間約3000万件のアクセスがあった。同サイトは2011年から運営され、損失は推計で年間約730億円。

 逮捕容疑は昨年8月下旬、著作権者の承諾を受けないで、人気漫画のデータを海賊版サイトにアップロードし、URLを「はるか夢の址」に掲載した疑い。

 和宇慶容疑者は逮捕前の取材に「金もうけをしようというつもりはなかった。(海賊版の投稿には)一切関与していない」と話した。

 和宇慶、成合両容疑者はサイトを運営する「紅籍会」という名称の団体幹部で、他に逮捕されたのは松山市の無職の男(37)らメンバー3人と、海賊版の投稿者4人。

 サイトのリンクの整理やページの更新などで、インターネット上の住所に当たるIPアドレスを匿名化するソフト「Tor(トーア)」を使っており、捜査本部は運営元や投稿者の特定を避けるためとみて調べる。(共同)