福岡市中央区大名２の旧大名小学校の起業支援施設で２４日にＩＴ関連セミナーの講師をしていた東京都江東区東雲（しののめ）２、インターネットセキュリティー会社員、岡本顕一郎さん（４１）が刺殺された事件で、福岡県警は２５日、事件後に交番に出頭した福岡市東区筥松（はこまつ）１、無職、松本英光容疑者（４２）を殺人と銃刀法違反の両容疑で逮捕した。岡本さんの体には正面だけでなく背後にも複数の傷が確認され、福岡県警は松本容疑者が執拗（しつよう）に追い回した上で殺害するなど強い殺意があったとみて調べる。
逮捕容疑は２４日午後８時ごろ、旧大名小の施設「フクオカグロースネクスト」１階のトイレで、岡本さんの胸や首などをナイフ（刃渡り約１６．５センチ）で複数回刺して殺害するなどしたとしている。松本容疑者は「ネットのやりとりで恨んでおり、死なせようと思った」と容疑を認めているという。
岡本さんは「ｈａｇｅｘ（ハゲックス）」のハンドルネームでネット上のトラブルなどを調査する有名ブロガーで、セミナーも本名ではなくハンドルネームで主催していた。松本容疑者は岡本さんと面識がなく、本名も知らなかったと供述しており、過去のネット上のやり取りだけで恨みを募らせたとみられる。
県警によると、セミナーは同日夕から事件約１５分前まで開催。松本容疑者はセミナー情報を事前に入手した上で当日岡本さんの顔を確認、セミナーに参加せずに施設内で待ち伏せし、セミナー終了直後に岡本さんがトイレに入ったところを襲ったとみられる。トイレから逃げようとした際も追いかけて背中など複数回を刺したという。死因は出血性ショックだった。
松本容疑者は事件後自転車で逃走し、同日午後１０時５０分ごろ、福岡市東区の交番に出頭。持っていたバッグの中から凶器とみられる血の付いたナイフが見つかった。施設の床に残った足跡が松本容疑者のものと一致した他、現場の防犯カメラにも松本容疑者に似た人物が映っていた。【柿崎誠、宮原健太】
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