景品が絶対取れないように設定したクレーンゲーム機で、客から料金をだまし取ったとして、大阪府警保安課は23日、詐欺の疑いで、ゲームセンター運営会社「アミューズメントトラスト」(大阪市浪速区)社長、大平剛史容疑者(33)と社員5人の男女6人を逮捕した。保安課によると、大平容疑者は「不正の指示はしていない」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は1~9日、大阪市中央区の道頓堀店、同市浪速区の日本橋店の2店で、2人連れの20代女性客2組に「絶対取れる」とウソを言い、14万4000円と33万円の計47万4000円をだまし取った疑い。
道頓堀店では人気家庭用ゲーム機(約3万円)、日本橋店では希少フィギュア(約3万円相当)が目玉景品で、ゲームは1回2000円。前後左右に操作できるはさみを使い、吊された糸を切ったら景品がもらえる仕組みだが、絶対に糸が切れる位置ではさみが止まらない設定にしていた。
料金を店員に直接手渡すとゲームに挑戦できるといい、客があきらめて帰ろうとすると、店員が「次は取れる」「誰でも取れるよ」などと、ゲームを続けるようにあおっていたという。
2015年以降、30人以上から「景品が取れない」と計約600万円の被害相談があった。被害額が10万円以上の人が多く「60万円以上使った」と話している人もいるという。8月以降では、道頓堀店だけで約20件の苦情が相次いでいた。運営会社は大阪、京都に計5店舗を経営。保安課はこの5店舗と運営会社を同日家宅捜索。5店舗全店で同様の行為を行っていたとみて、調べている。
保安課によると、当初はぬいぐるみなどを景品として無料でゲームをさせた上で、高価なゲーム機やタブレット端末を景品に加えていた。料金は1回500円から最終的には1万円までつり上がり、現金自動預払機(ATM)や消費者金融で金を引き出し、ゲームを続けた客もいるという。
系列店では、3~6万円の電動立ち乗り2輪車を景品にして、前後左右に操作できる円柱を穴にさし込めれば景品がもらえる1回500円のゲームなど、数種類のゲーム機を設置。保安課は、客に付き添った店員が、景品が簡単に取れる設定にした上で手本を見せ、「誰でも簡単に取れる」とあおった上で、取れない設定に切り替えて客にプレーさせていた疑いもあるとみて、クレーンゲームの運用状況について詳しく調べている。
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