映画「女賭博師」シリーズなどで知られる女優・江波杏子(えなみ・きょうこ、本名・野平香純=のひら・かすみ)さんが10月27日午後9時6分、肺気腫の急性増悪のため都内の病院で死去した。76歳。2日、所属事務所が発表した。葬儀・告別式は近親者で執り行った。亡くなる5日前まで仕事をしていたが、突然の訃報となった。
美しさと凜々(りり)しさを兼ねそなえた存在感で、新しい女優像を作り上げた江波さんが急逝した。
所属事務所によると、長年にわたって肺気腫を患っていた江波さんだが、日常生活には差し障りなく女優業を継続していた。今夏には、NHK・BSプレミアムの時代劇ドラマ「小吉の女房」(来年1月11日スタート)の京都ロケに参加し、勝海舟の祖母役を演じた。亡くなる5日前の10月22日にはNHK・FMのラジオドラマ「FMシアター 罵詈雑言忠臣蔵」(12月8日放送)の収録に加わり、元気な様子を見せていた。
ところが、同26日に呼吸の不調を訴え、都内の病院に緊急入院。そのまま回復することなく、27日夜に帰らぬ人となった。葬儀は2日に近親者のみで執り行われた。
幼少期から演技の世界を夢見た。5歳の時に死別した母・江波和子さんは昭和初期に活躍した女優。亡き母の夢を継ぐため、17歳で銀幕デビューを飾った。
当初は脇役ばかりで芽が出ず。所属の大映を辞めて舞台女優への転身を考えていた23歳の頃、思わぬ当たり役に恵まれた。66年の映画「女の賭場」で主演の若尾文子(84)が風呂場で転倒して負傷したため、代役として初主演すると、たちまち大評判になった。
着物をはだけさせたまま「壺ふり」(サイコロを振る動作)をする「昇り竜のお銀」役は一大ブームに。「女賭博師」シリーズは5年で17作が製作される代表作になり、大衆娯楽作のヒロインとして絶大な人気を誇った。
71年に大映が倒産してからは、役柄の幅を広げた。73年の「津軽じょんがら節」で評価を得てからは演技派として映画、ドラマを問わず活躍。92年の舞台「日本人のへそ」ではステージ上でヌードを披露した。
今年4月に公開された映画「娼年」では、46歳下の松坂桃李(30)との濡(ぬ)れ場を着物姿のままエロティックに演じ、話題を集めたばかりだった。
◆江波 杏子(えなみ・きょうこ)1942年10月15日、東京都生まれ。宝仙学園高在学時の59年、大映に13期ニューフェイスとして入社。翌60年の映画「明日から大人だ」でデビュー。66年の初主演作「女の賭場」が大ヒットし、全17作の「女賭博師」シリーズに。73年に「津軽じょんがら節」でキネマ旬報主演女優賞受賞。
◆肺気腫 肺の末端にある袋状の「肺胞」の壁が破壊されることで、肺胞が大きく膨らみ、吸った空気がうまく吐き出せなくなる状態。体を動かしたときに息切れが起こったり、呼吸困難に陥りやすくなる。主な原因に喫煙や大気汚染などが挙げられる。風邪など気道からの感染をきっかけに急性憎悪(症状の急激な悪化)となり、死に至る場合もある。
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