原作は、綿密な時代考証を基にーモアを交え当時の社会を表現する歴史小説の第一人者・小松重男氏の傑作短篇集「蚤とり侍」。その中の人気エピソードを基に、『後妻業の女』の鶴橋康夫監督が物語を再構築し、監督・脚本を一手に担う。
作中では、江戸時代に実在した 猫の“のみとり”稼業を中心に描かれる。“のみとり”とは、お客様の飼い猫ののみを取って日銭を稼ぐお仕事。しかし、その実態は女性に愛をご奉仕する裏稼業。そんな裏稼業を命じられてしまうエリート藩士・小林寛之進を阿部が演じ、寺島しのぶ、豊川悦司、斎藤工、風間杜夫、大竹しのぶ、前田敦子、松重豊、桂文枝らが共演する。
お披露目されたポスター制作に着想を得たのは、日本を代表する浮世絵師・東洲斎写楽の浮世絵『三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛』。エリート侍からのみとり侍に転落しながらも、真っ直ぐすぎる生き様から江戸のヒーローになっていく寛之進という男を、江戸時代を最も象徴し、親しみのあるビジュアルに落とし込んだ。
長年、同作の企画を温めていた鶴橋監督の心の中心にあり続けたのは、この『三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛』を基に手塚治虫が描いた『猫・写楽』だった。ポスター撮影時、阿部は写楽の描いた浮世絵を見ながら、手の位置や目線の振り方に細かく気を配り、度重なる微調整を繰り返し、撮影に挑んだ。
■鶴橋康夫氏(監督・脚本)コメント
『蚤とり侍』を映画化するにあたって、江戸中期、すでに戦国乱世も終わり、商業主義に変わって、その時代を生きていた侍がどのように生きていたのか、調べ始めました。浮世絵、錦絵、春画と探すなか、新聞でみつけたのが、手塚治虫が描いた『猫・写楽』でした。いくら探しても資料が出てこない“蚤とり”について、偉人である手塚治虫も気にかけていたかと思うと非常に印象的で、随分と長い間変わらず、自分の真ん中に在り続けました。その大事な絵が、今回、映画『のみとり侍』のポスターのきっかけとなったことは、とても驚いています。
阿部寛さんと撮影でご一緒するのは、3度目ですが、こちらの期待以上に寛之進という侍の誇りや忠義心を表現してくれ、僕と彼の間には、互いに信頼があったように感じるし、喜劇でありながら不条理劇でもある『のみとり侍』を一緒に制作しているという意気込みがありました。ポスターで表現されているように、阿部さんが、この当時の浮世絵に描かれているような歌舞いた表情をしてくれたこともとても嬉しいです。僕たちが想像していた以上にこの作品を理解してくれているのではないかと感じ、「よくぞここまで表現してくれた!」と初めてポスターを見たときに思いました。
映画本編は、現在仕上げ作業中ですが、寛之進と江戸の人々が互いに、友情、敬愛、愛情と気持ちを育む姿の裏には、原作者の小松先生が描いた「人は一人では生きていけない」というメッセージがあるのではないかと思っています。ぜひ、若い人をはじめ、幅広い方々にご覧いただきたいです。
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