評論家の西部邁さんが死去 多摩川で自殺か - Crune Blogs

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2018年1月21日日曜日

評論家の西部邁さんが死去 多摩川で自殺か

 21日午前6時40分ごろ、東京都大田区田園調布5丁目の多摩川で、評論家の西部(にしべ)邁(すすむ)さん(78)の長男から、「父親が川に入った」と110番通報があった。警視庁と消防が男性を救出したが、約2時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。

 田園調布署によると、男性は西部さんだった。同日未明に家族が「父親がいない」と110番通報していた。行方を捜しているなかで、多摩川で長男が見つけ、通報したという。河川敷に遺書が残されていたといい、署は自殺の可能性があるとみている。

 1939年、北海道生まれ。東大経済学部卒。元東大教授。60年安保闘争の際には全学連の指導層におり、後に保守派の論客として活躍した。回想記である86年の著書「六〇年安保 センチメンタル・ジャーニー」も話題を呼んだ。大衆化する保守や米国流の経済思想を鋭く批判。著書に「大衆への反逆」などがある。保守派の雑誌「発言者」も刊行した。80年代後半以降は討論番組「朝まで生テレビ」の人気メンバーとしても活躍した。柔らかい語り口から理想主義の行き過ぎを批判するコメントを語り、注目された。

 戦後日本における保守とは何なのか、という問いかけを積み重ねてきた。

 保守派の論客として強く存在感を示したのは今世紀初頭、9・11同時多発テロを経験した米国がイラク戦争になだれ込んでいく際だった。イラク攻撃は正当かどうかが世界的な論点となり、日本の保守政権が追認に傾いていく中、保守派の立場から反対の論陣を張った。「米国による攻撃は侵略であると断ぜざるを得ない」と本紙の取材に語っている(2004年)。

 歴史に根ざした常識を重んじ、人間の理性を過信しないことが保守の特徴だと考える立場から、「戦争でイラクを自由で民主的な国家に変える」という政策は保守とは相いれない、と訴えた。日本の主流を占める「親米保守」への鋭い批判だった。根底には、敗戦国として出発した戦後日本がどうすれば米国追従でない自主的な国でありうるか、との問題意識があった。

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続きを読みます https://www.asahi.com/articles/ASL1P55P9L1PUTIL00Z.html

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