主演の岡田准一(右)と共演の西島秀俊
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[映画.com ニュース]直木賞作家・葉室麟氏の時代小説を映画化する「散り椿」の完成報告会見が8月27日、東京・帝国ホテルで行われ、木村監督をはじめ主演の岡田准一、共演の西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子、メガホンをとった木村大作監督が出席した。
映画人生60周年を迎えた日本を代表するキャメラマン・木村が、監督作第3弾にして時代劇に初挑戦。木村監督が撮影を手がけた「追憶」に続いてタッグを組んだ岡田は、「映画界の“生きる伝説”である大作さんにまた誘っていただいて、『美しい本格時代劇を作ろう』と言っていただいたこと、とても光栄でした」とオファー当時を振り返り、「大作さんと斬り合っているような現場を経験させていただきました」と目を細める。
物語は享保15年、藩を追われた瓜生新兵衛(岡田)が、死の床に伏した妻・篠(麻生)の最期の頼みを受け、宿敵・榊原采女(西島)を助けるべく故郷に戻る姿を描いた。西島は「美しい時代劇を作ろうと、スタッフ・キャストともに全身全霊で撮影してきました。傑作時代劇が生まれました」と感無量の面持ちで、初参加となった木村組を「『劔岳 点の記』に出演した役者さんから『木村組はすごく大変。撮影ではなく、修行』と聞いていて。つらい現場は大好きなので、ぜひとも参加したかった。ピリピリした現場かと思いながら実際入ると、監督はよく『馬鹿野郎』とおっしゃいますが、愛情がある馬鹿野郎で、一番下のスタッフまで笑顔で楽しむ、素晴らしい現場でした。映画を撮る喜びにあふれていました」と述懐した。
キャスト陣の敬意と信頼がにじむコメントを受け、木村監督は「撮影助手の時、黒澤明についていましたので、『隠し砦の三悪人』『用心棒』『椿三十郎(1962)』を現場で見ていた生き残りです」と胸を張り、「“美しい”とは、映像や風景よりも、人の心の美しさを撮りたいと思って言った」と説明。複数台のカメラで一発撮りという、木村監督の“熟練の撮影手法”に言及した岡田は「殺陣のシーンなども、1回戦しか撮影しないんです。その場の空気をも撮る。大作さんは撮影最終日、ラスト前の殺陣を撮りきったとき、倒れられた。すごく集中して撮っていることを感じさせてもらえる瞬間でした」と明かし、同シーンで共演した西島も「カメラポジションを決めて倒れられた。びっくりしました」と舌を巻いていた。
さらに「『見たことがない殺陣がいい』と、クランクインする3カ月前から殺陣を作っては壊し、大作さんに見ていただいた」と話す岡田。木村監督は、全編の殺陣の出来栄えに「素晴らしいものになっています。全部、多重カメラでワンカットで撮っています」と手応えをのぞかせ、「岡田さんの殺陣は、スピードに関して言えば、三船敏郎、高倉健、仲代達矢、勝新太郎を上回る。殺陣というのはひとえにスピードです」と手放しで褒めちぎる。これに岡田は「すごい人たちの名前が出てきたので、クラクラして……」と恐縮そうに語り、木村監督は「僕は嘘を言わない人間だから」と笑っていた。
そして岡田に、「今作は自身の俳優人生でどんな位置づけに?」と質問が。「大作さんは『黒澤監督に見てもらいたい、届かないけど褒めてもらいたい』という思いを持たれている」と切り出し、「僕も『時代劇をできるようになって』とたくさんの先輩方から言っていただき、これまで勉強してきました。責任と覚悟を感じつつ、大先輩たちに『僕は時代劇をできていますか?』と問いかける、答え合わせのような作品。代表作だと認めてもらえたら、と思う作品になっています」と願いを込めていた。
「散り椿」は、9月28日から全国公開。
(映画.com速報)
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