「海賊版サイト全滅させる」 出版社との実証実験、赤松健さんの狙いは - Crune Blogs

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2018年8月1日水曜日

「海賊版サイト全滅させる」 出版社との実証実験、赤松健さんの狙いは

左から、講談社の森田浩章取締役、Jコミックテラス溝口敦社長、赤松健さん、Jコミックテラス佐藤美佳取締役、メディアドゥホールディングス新名新副社長

「海賊版サイトを全滅させる」――絶版漫画の無料配信サイト「マンガ図書館Z」を運営するJコミックテラス(東京都千代田区)と老舗出版社の実業之日本社が8月1日に始めた実証実験について、漫画家の赤松健さんが意気込みを語った。作家本人ではない「第三者による作品投稿」を出版社の協力を得て合法化するのが、今回の実験のポイントだ。

権利者の許可なく作品を配信する「漫画村」などの海賊版サイトが社会問題化し、出版社なども刑事告訴や削除要請をするなど対策をとってきたが、即効性のある有効策はなくいたちごっこが続いていた。マンガ図書館Zは、絶版漫画を収集し、広告付きで無料配信することで海賊版サイトに対抗してきた。

作家本人が作品(zip)をアップロードし、広告収入の一部を受け取る仕組みはこれまでも提供してきたが、今回の実験では第三者からのアップロードを出版社を通して合法化する仕組みを用意。実業之日本社が作家に本人確認を行い、許諾を得れば広告付きで無料配信する。インセンティブは作家が8割受け取り、残りを出版社と投稿者で折半する(投稿者はインセンティブを受け取らない選択もできる)。

赤松さんは「海賊版サイトにあるzipをダウンロードし、そのままマンガ図書館Zに投稿すれば、その人もインセンティブをもらえる」と笑う。「出版社の協力を得て、作家本人の許諾をもらっているというのが海賊版サイトとは違う所です」(赤松さん)。また、正式に実業之日本社と契約するので、他の電子書店でも作品の販売が可能に。

作家と出版社は絶版作品から利益を得られ、読者にとっても無料でさまざまな作品を読めるメリットがある。実業之日本社の過去作品のうち絶版になった書籍が対象(作家4358人、全8871冊)。「漫画以外に文芸作品もあるのがすごい所」と赤松さんも自信を見せる。

●「電子化したいけど……」 出版社の実情

赤松さんによると、実業之日本社から過去作品を電子化したいという相談を受けたことが実証実験のきっかけだったという。「電子化したくてもお金がないと相談された。リクープできない作品を出版社で電子化するのは難しい。それなら合法的な漫画村を作り、市民からの投稿を合法処理していけばいいのではないかと思った」(赤松さん)

さらに「最近の小学生は漫画の読み方が分からないという都市伝説などもあるが、漫画は需要のある娯楽だと分かった。正しくもうけられないか、適切なマネタイズを検証するための実証実験だ」と続けた。

講談社の森田浩章取締役(Jコミックテラス社外取締役)は、「作家たちが命を削って書いてくれた作品を泣く泣く絶版にしているのが版元の本音。マンガ図書館Zは、絶版書物やクリエイターを救ってくれるシステム」と期待を寄せる。

●究極の目標は「全作品のアーカイブ」

赤松さんは「究極の目標は、(マンガ図書館Zを)全ての漫画が読める場所にすること」と話す。今回の実証実験を機にいろいろな出版社の絶版作品を集めるだけでなく、週刊少年ジャンプ、週刊少年マガジン、週刊少年サンデーといった少年誌がTOPページに並ぶようにしたいという。「今発売中の少年誌を読むのは有料サービスになると思うが、それも実験中。漫画村がやっていたことを全部やりたい」(赤松さん)

単に作品を集めるだけでなく、OCRによる画像データとテキストデータ(せりふ)の収蔵や、自動翻訳と自動彩色による海外市場へのアピールなども行い、最終的にこれらのシステムを国会図書館に採用してもらうことを目指しているという。

「最終的に国会図書館に当管理システムが採用されれば、あらゆる作家が潤う。そうすればネットの海賊版は全滅する」(赤松さん)

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