俳壇の長老で、戦後俳句を代表する金子兜太さんが20日、亡くなった。98歳だった。埼玉県熊谷市の病院に2月上旬から入院していたが、長男真土(まつち)さんとその妻に見守られて静かに息を引き取った。真土さんは「この年まで現役で俳句を詠みつづけ、よく頑張りましたね」と声をかけて頭をなでた。
金子さんは「俳句にも社会性が必要」と同時代の思想や時代背景を積極的に詠み、時に実験的な手法も用いて俳句の革新を試みた。一方で、民衆の心をうたう詩として普及につとめた。悲惨な戦争の体験者として不戦を訴え続け、晩年まで政治や国際情勢に関心を抱き、きな臭くなる社会の行く末を案じていた。
力強い作風の原点には、海軍主計中尉として赴任した南洋・トラック島での戦場体験があった。
「水脈(みお)の果て炎天の墓…
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