将棋の藤井聡太六段(15)が22日、大阪市の関西将棋会館で行われた第66期王座戦2次予選で糸谷哲郎八段(29)と対局し、89手で勝利した。
藤井六段は20日の中学卒業後、初の公式戦。相手の糸谷八段は元竜王で、来期は順位戦最上位のA級に所属することが決まっている強敵だが、危なげなく寄せ切った。
藤井六段は「形勢判断がよく分からなくて非常に難しい将棋でした」と振り返ったが、糸谷八段は「ちょっと強気に行き過ぎたかなと思うところもありましたが、ずっと一手負けでした。棋戦優勝もされてるし、私がいまさら言うこともないですが、終盤も鋭いですし、中盤も非常に切り込んでくる。気持ちのいい切り込み方だなと思いました」と脱帽した。
この日の対局について、史上最年長でプロ棋士になった今泉健司四段(44)は「糸谷君の“らしさ”が全く出ない展開で彼も人の子だなと思わせる内容でした。野球で言うと七色の変化球を使うタイプなのに、変に一直線に踏み込んで、全然彼の将棋じゃなかった」と同郷の後輩の指し回しを指摘。
一方、藤井六段については「もう超一流の棋士の一人で、気負って勝てる相手ではない。糸谷先生に教わるんだという真摯な気持ちで挑んでいるだろうし、糸谷君が気負った時点で藤井君に分があった」と分析した。
藤井六段は今年に入り初戦こそ敗れはしたものの、その後16連勝。公式戦通算成績を71勝11敗とした。16連勝の内訳は羽生善治竜王(47)らA級棋士もなぎ倒してのものだけに価値は高い。再び連勝街道に乗り、まさに“無双状態”だが「連勝は意識していないので、これからも普段通り臨めたら」と強調した。
今泉四段も「棋士にとって、連勝というのはそれほど価値があるものでもない。勝てば気分はいいですけどね。でも、欲しいのはタイトルとかの実績。極論すれば、勝率が2割でも竜王のタイトルの方が欲しい。藤井君もそう思ってるでしょう。それにA級棋士とバンバン当たるようになれば、彼らも連勝を許さないでしょう」と語った。
藤井六段は4月から名古屋大学教育学部付属高へ進学する。卒業後初対局の心境を問われると「対局に臨むにあたっては、いつも同じ気持ちと思っているので、特に変わったことはありません」と淡々と答えた。
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