「リバーズ・エッジ」舞台挨拶、小沢健二が二階堂ふみの情熱を「小宇宙を創れる」 - Crune Blogs

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2018年2月18日日曜日

「リバーズ・エッジ」舞台挨拶、小沢健二が二階堂ふみの情熱を「小宇宙を創れる」

岡崎京子原作による実写映画「リバーズ・エッジ」公開記念舞台挨拶が、本日2月18日に東京・TOHOシネマズ新宿にて開催された。

「リバーズ・エッジ」は、1990年代の都会に生きる高校生たちを描く物語。舞台挨拶には、若草ハルナ役の二階堂ふみ、山田一郎役の吉沢亮、田島カンナ役の森川葵、観音崎役の上杉柊平、吉川こずえ役のSUMIRE、小山ルミ役の土居志央梨行定勲監督が登壇した。まず行定監督は「(本作の映画化に奔走した)二階堂ふみから声をかけられて、果たして完成するのだろうかと思いましたが、こういう場を迎えられうれしく思っています」と、映画が無事に公開されたことへの感謝の言葉を述べた。

第68回ベルリン国際映画祭で、パノラマ部門オープニング作品に選出された本作。昨日までベルリンにいたという二階堂、吉沢、行定監督はその感想を聞かれ、初めて映画祭に参加したという吉沢が「スゴイ楽しかったです。もっと敷居が高い感じかなと思っていたら、本当にお祭りで面白かったですね」と振り返る。またすごく緊張したと語る二階堂は「皆さん、写真をプリントしてきてくれていたんですが、『どうしてこの写真を?』っていうのもあったり(笑)。行定監督のすごく若い頃のお写真を持ってきている人がいて笑いました」とレッドカーペットで見た景色を回想した。

現在開催中の平昌冬季五輪にて、羽生結弦選手の金メダル獲得で盛り上がっていたというキャスト陣。特に熱弁していたという上杉は「もう泣いちゃって。スゴイ感動しました」と未だに興奮気味だ。そして、撮影中苦労したことについて「スタイリストさんが90年代の衣装を用意してくれていたんですが、靴の底が抜けちゃってたんですよ(笑)。僕が言わなきゃわかんないので、黙ってずっと素足で地面を踏みしめてました(笑)。体を使ったシーンが多かったのでダメージが蓄積されたのかな」と笑う。

また摂食障害のモデル・こずえ役を務めたSUMIREは「演技経験もあまりないまま、いきなり吐くシーンを撮りました」と裏話を披露。それを聞いていた行定監督は「SUMIREさんには『これ、マジで吐きます?』って言われました(笑)」と撮影でのやり取りを明かすと、SUMIREは「いや、それぐらいやりますよっていう気持ちを伝えようと思って……」と語った。

そして吉沢は「山田自身の発している情報が少なくて。その余白をどう埋めようかとひたすら考えていて。結局わかんないまま終わったって感じだった」と率直な感想を述べる。「でも、これだけ悩める役に出会えたのは役者としてすごく幸せだなと感じました。今後の役者人生の中で重要な役になると思います」と続け、本作への強い思いを吐露する。また、16歳の頃に「リバーズ・エッジ」に出会い、映画化を熱望してきた二階堂は「(願いが)叶うものなんだなって。この2年間、監督やプロデューサー、キャストの方々、それに小沢(健二)さんだったりとの出会いも、私にとって大切な作品になったなと思います」と述べた。

ここで岡崎の友人であり、映画の主題歌「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を書き下ろした小沢健二からのサプライズメッセージが読み上げられる。二階堂とともに岡崎の自宅を訪れたこと、二階堂が本作にかける強い思いについて、映画を観たときの感想、主題歌に込めた思いなどが、小沢らしい優しい言葉で綴られる。「自然に身体が動く方向へ、思い切って飛んで頑張って。本当によかったです、『リバーズ・エッジ』小沢健二」という言葉で締められた手紙に、二階堂は「感無量です」とつぶやき、続く言葉を探す。クランクイン当時を振り返り「ついこの間のような感じですが、『リバーズ・エッジ』について、監督含めて話して考えて、それぞれの思いや気持ちをぶつけた作品。こうして皆さんに披露できてうれしく思います」と思いを語った。

最後、行定監督は「映画が完成する、作られるってことも奇跡的なことだと思ってます。二階堂ふみに出会って『リバーズ・エッジ』興味あるかと言われ、興味ないわけない。だけど、偉大なマンガ家の岡崎京子が描いた最高傑作を映画化するなんておこがましい、という気持ちと、本当に出来るんだろうかという思いもありました」と映画完成までを述懐する。「でも二階堂ふみが『映画にしたいんだ、自分がハルナをやるにはもう時間がない』って言うわけです。僕らは挑戦状をもらったようなもの。本当に完成するかはわからない。でも映画に小沢さんが加わり、ベルリンが僕らの映画を呼んでくれた、この奇跡的なことが今日皆さんに届いて、はじめて帰結する。この思いが、たくさんの人に伝わっていけばいいなと思います」と話し、イベントを締めくくった。

小沢健二コメント

もうずっと前の冬の夜

もうずっと前の冬の夜、岡崎京子さんの家に行くために東京の路上で二階堂ふみさんを待っていると、真っ暗な中に、ふみさんが一人で現れました。療養中の京子さんに負担をかけないために、一人でいらしたのだと思います。ふみさんとぼくは暗い坂を登って、京子さんの家に入りました。

ふみさんが「リバーズ・エッジ」の映画化にかけた情熱は、小宇宙を創れるくらいのものです。それをふみさんは静かにたたえて、京子さんに話をしていました。そこから流れ出た水がこうやって、映画となってみなさんに届きました。

ラッシュを見た時は、ふみさんの顔が京子さんそっくりに見える場面があり、驚きました。あれはなんなのだろうと、今も思っています。吉沢亮くんのあの横顔から川を鳥が飛んでいくシーンは、記憶して、再生して、何度も考えて、音にしていきました。ぼくにとってのヒントは、ふみさんの肩でした。

そうやってできた主題歌「アルペジオ」に声を入れるスタジオでは、ふみさんは言葉の感情を音楽にして、逆に亮くんはすっきりとリズムに凛々しく、録音していました。

ぼくは「アルペジオ」については、「若い人にどう聞こえるか」とか「若い人がどうのこうの」は一切考えませんでした。そういうのは、漫画を描いていた頃の京子さんや、その頃のぼくは嫌いだったし、今も嫌いです。当然。笑

世田谷の小さな空間から流れ出した水が、大きな川になって、流れています。

本当に大きなものって、実は結構個人的で、小さくて、かっこ悪くて、理屈が合わなくて、それでも自然に体が動いてできるのではないかと思います。自然に体が動く方向へ、思い切って飛んで、がんばって。

本当に良かったです、「リバーズ・エッジ」。

小沢健二

(c)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

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