【ロンドン=沢田千秋】和歌山県太地町のイルカ漁を批判し、米アカデミー賞を受賞した米ドキュメンタリー「ザ・コーヴ」に反証する映画「ビハインド・ザ・コーヴ」の八木景子監督(50)が十七日、ロンドン・フィルムメーカー国際映画祭の長編ドキュメンタリー部門で、最優秀監督賞を受賞した=写真、沢田千秋撮影。この映画はイルカ漁だけでなく、クジラ漁についても取り上げている。
同映画祭は、自主制作映画の支援などを目的に二〇〇七年に始まり、約五十年の歴史があるロンドン映画祭よりも規模は小さい。受賞理由について「倫理的に賛成するわけではないが、中立で情熱的」としているが、反捕鯨運動の拠点であるロンドンで日本側の視点から捕鯨を描いた映画が一定の評価を得た形だ。
イルカの追い込み漁で知られる太地町に滞在し、映画を制作した八木さんは「日本の捕鯨は世界で一方的に報じられてきたが、両方の意見を伝える機会を得て感謝している」と語った。
コーヴは動物保護団体の米国人が太地町でイルカ漁の残虐性を訴える内容。隠し撮りや、事実と異なる表現、町民を嘲笑する場面があり、日本での上映時は、保守系団体が抗議活動を展開するなど物議を醸した。
ビハインドは、コーヴの監督や主役にインタビューしたほか、日本での捕鯨の位置づけや捕鯨を巡る日米の歴史の対比を描き、反捕鯨運動の舞台裏に迫った。
ただ上映会で映画を見た英国人男性からは「この映画は子どもや高齢者ばかり取り上げて偏向しており、真の描写、意見がない。コーヴが不公正なら、この映画も同じ」との声もあった。
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